
介護保険での住宅改修は、どんな工事をしてくれるのかな?
手続きは、どうするの?
そんな疑問にお答えします
本記事の内容
介護保険 住宅改修とは
介護保険 住宅改修の対象となる工事とは
住宅改修の手続き
介護保険 住宅改修の費用
介護保険の住宅改修で特に注意が必要なこと
この記事の信頼性
この記事を書いている私は、現役の在宅ケアマネです。
介護保険の住宅改修には、40~50件関わってきました。
介護保険での住宅改修を知らずに自己負担で改修されている方もたまにおられます。
せっかくの制度を活用できていないことは、本当にもったいないですよね。
今回は、介護保険での住宅改修をテーマに書いていきます。
介護保険の住宅改修の流れや対象となる工事内容、気を付けるべき業者について書いていきますので、最後まで読んで見てください。
目次(クリックするとその項目に飛びます)
介護保険 住宅改修とは
介護保険の住宅改修とは、自立した生活や介護をしやすい環境を整えるため、小規模な住宅の工事をおこなうことです。
介護保険で住宅改修できる条件
介護保険で住宅改修を利用できる条件は、2つあります。
要介護認定の結果が出ている方(要支援1~要介護5)が対象
介護保険証の住所地であること
2つの条件を満たせば、介護保険を利用した住宅改修ができます。
住宅改修を再利用できる条件
一度介護保険で住宅改修をおこなっても、再度住宅改修ができる条件が2つあります
介護保険での住宅改修を再利用できる条件
①『介護の必要の程度』の段階が3段階以上あがった場合 (例:要介護1から要介護4になった)
②引っ越しをして介護保険証の住所が変った場合
①②それぞれ、再度20万円分住宅改修を利用することができます。
住宅改修の利用方法
意外と知られていない、住宅改修の利用方法を紹介していきます
・両親が要介護認定を受けていて、同じ住所地であれば、住宅改修の工事費は合計40万円が限度となる。
・1回の改修で20万円まで使い切らずに、数回に分けて使うこともできる。
住宅改修の利用方法は、夫婦で合算し利用できたり、数回に分けて利用ができます。
介護保険 住宅改修の対象となる工事とは
介護保険での住宅改修では、①~⑥の内容と決められています
住宅改修の内容
①手すりの取り付け
②段差の解消
③滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
④扉の取り換え
⑤便器の取り換え
⑥1~5の各工事に付帯して必要と認められる工事
一つずつ紹介していきます。
①手すりの取り付け
取り付ける壁の強度や素材によりますが、廊下、トイレや浴室、脱衣所、玄関などに手すりを取り付けてくれます。
②段差の解消
居室や廊下、トイレ、浴室、玄関などの床の段差及び玄関から道路までの通路の段差や傾斜を解消する。
③滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
滑りにくい素材へ変更する(例:フローリングからビニール系の床素材へ変更など
④扉の取り換え
開き戸から引き戸、折れ戸やドアノブの変更など
⑤便器の取り換え
和式便器から洋式便器への取り換え*H27年度から便器の位置・変更も追加される。
⑥上記①~⑤の各工事に付帯して必要と認められる工事
手すりをつけるために壁の下地を補強するなど
介護保険 住宅改修の流れ
介護保険の住宅改修を利用するには、介護保険の申請を行い「要支援1~要介護5の認定を受ける」ことが必要です。
介護保険の申請については、こちらをご覧ください
介護保険 住宅改修【ケアマネが解説】知らないと損する注意点を紹介!
介護保険の住宅改修流れを説明します。
住宅改修の流れ
①担当ケアマネ(地域包括支援センター)へ相談
②住宅改修内容の検討
③介護保険課へ事前申請
④事前申請確認書兼完成届け出書の交付
⑤住宅改修着工
⑥介護保険課へ事後報告
*③④⑥は、住宅改修の業者がすべて行ってくれます。
一つずつ説明します
①担当のケアマネ(地域包括支援センター)に相談
介護保険で住宅改修をする前に担当のケアマネに相談する
理由は、
悪徳な住宅改修業者がいて、不当に高額で工事をする被害も実際にあります
ケアマネは、普段から住宅改修をする業者(介護保険で住宅改修をする届け出をしている)を何社か知っていますので安心です。

最寄りの地域包括支援センターに相談しましょう!地域包括支援センターは、地域の困りごとを相談できる機関です。
地域包括支援センターの職員さんは、介護保険で住宅改修をしてくれる業者を知っています。
こちらで最寄りの地域包括支援センターを調べれますよ!
②住宅改修内容の検討
住宅改修の内容をプロと検討する
具体的には
・本人、ご家族、ケアマネ、施工業者、場合によってはPT(理学療法士)さんとで、自宅内のどこが危険なのかを確認します。
・どの位置にどの角度で手すりを設置するほうが、転倒の予防になり安全かを検討します。
・施工業者は、見積もり書を作成、介護保険課に提出するために見取り図を描いたり、工事個所の写真を撮ります。
*業者が見積書が完成すれば見せてくれますので、値段や改修カ所の確認する。
他社の見積もりを取りたい場合もケアマネや地域包括支援センターに相談するといいですね。
自宅内で転倒が多い場所や転倒予防策を知りたい方は、こちらをご覧ください
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転倒防止 高齢者がとるべき予防策をケアマネが提案します!
続きを見る
③介護保険課へ事前申請
住宅改修前に介護保険課に提出する書類は以下の通りです(住宅改修業者がすべてしてくれます)
〇住宅改修費事前確認書及び支給申請書
〇住宅改修が必要な理由書(ケアマネか業者が作成します)
〇見積書
〇改修カ所の工事前の写真
〇住宅の平面図
〇住宅改修の承諾書(住宅の所有権が被保険者本人以外の場合必要です)*ちなみに市営住宅などは許可に10日ほどかかるようです。
〇委任状(被保険者本人以外の口座へ振り込みを希望する場合必要です)
ほとんど事業所とケアマネがしてくれるので、安心です。
④事前申請確認書兼完成届け出書の交付
介護保険課で事前申請を確認し不備がなければ『事前申請確認書兼完成届け出書』を交付されるので住宅改修に着工できます。
交付後申請を取り下げる場合は介護保険課へ連絡する。
*工事の数日前などに入院した際は、本人の状態も変わり、万一在宅へ帰らなければ、全額自己負担になります。その場合、工事は取り下げるべきです。
工事の中止・変更は、ケアマネか住宅改修してくれる事業所に連絡しましょう。
⑤住宅改修着工
住宅改修着工後に、施工場所や材料などに変更があった際には改修工事を中断し介護保険課へ連絡する(再度、見積書、写真などの提出が必要になる場合があります)
⑥介護保険課へ事後報告
住宅改修後、介護保険課へ報告します(住宅改修業者がすべてしてくれます)
住宅改修の完成後
〇事前申請確認書兼完成届け出書
〇領収書
〇請求明細書
〇改修カ所の工事後の写真
流れとしてはこのようになります


介護保険 住宅改修の費用
住宅改修の費用は
住宅改修の費用について説明します。
住宅改修の工事費は
20万円が限度で、介護保険負担割合証に記載されている1割~3割が自己負担です(本人の所得額によって異なる)
例えば、住宅改修で10万円かかるなら自己負担額は、1万円(1割負担)となります。
住宅改修の支払いは、基本償還払いです(全額支払った後に、1割負担の方なら9割返ってきます)
*生活保護の受給者は、市町村の負担となりますが必ずケースワーカーさんと相談してくださいね!
介護保険負担割合証
介護保険負担割合証とは
・介護保険サービスを受けた場合は、ご本人の所得などに応じて1割~3割の負担となります。
・介護保険認定を受けた方は、介護保険証と同時期に送られてきます。
介護保険 住宅改修 5つの注意点
住宅改修で気を付けたい注意ポイントが5つあります。
入院中に住宅改修をする場合
知り合いの工務店へ依頼したい
工事の前日に入院した場合
賃貸を利用している場合
悪徳業者に注意
一つずつ説明します
①入院中に住宅改修をする場合
入院中に住宅改修をする場合は、注意が必要です。
介護保険の住宅改修は、在宅生活のために設けられている制度です。
なので
退院を見越して入院中に住宅改修をした場合、万一退院できなかったり、そのまま施設に入居すれば住宅改修の工事費は全額自費になります。
基本的には、退院してから住宅改修をすることをお勧めします。
どうしても手すりが必要なら、住宅改修すをるまで手すりレンタルの利用をしましょう
手すりのレンタルについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください
介護保険で手すりをレンタルする方法・費用は?【ケアマネが解説】
②知り合いの工務店に依頼したい
住宅改修を知り合いの工務店へ依頼したい場合です
その知り合いの工務店が住宅改修をする登録を保険者にしているか? 確認しましょう。
保険者に登録をしなければ、認められません。
③工事日の前日に入院した
工事日の前日に入院した場合は
工事の中止はできるので中止しましょう。
理由は、
・退院できないと全額自己負担
・施設に入ると全額自己負担
・状態が変われば住宅改修の内容も変わる可能性がある
本人が入院すれば工事は中止しましょう。
④賃貸の方の場合
賃貸の方は、必ず大家さんの了解を得るようにしましょう!
賃貸の方針によっては、賃貸解約の際すべて現状復帰を求めるところもあるので、退居の際にどうしたらいいのか確認しましょう。
手慣れた住宅改修の業者なら、市営などであれば管理会社に事業所が確認してくれます。
⑤悪徳業者に注意が必要
悪徳業者に注意してください


悪質な業者の手口
①年寄りに「住宅改修を安くできる方法を手伝うよ」と上手く言って「要支援・要介護認定の申請」を出します。
②業者が認定調査にまで立ち合うこともあるようです。
③認定が出れば、利用者に住宅改修の話をします。
④住宅改修に必要な手続きを業者が行います。
⑤実際は、安い工事費用だが「高額で請求する」。
*ケアマネがいなくても住宅改修はできるのです。
対応策としては、知らない人が着て「住宅改修」「介護の申請をしますよ」と言ってくれば
・家族と相談します
・地域包括支援センターと相談します
と返答しましょう。

今回は、以上になります。
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